親知らずが歯を破壊

知らなかったではすまされない親知らずを抜かずにおいておく危険性

親知らずとは大臼歯(大人の歯)の中で最も後ろにある歯です。8番目の歯とも言います。智歯(ちし)とも呼ばれます。歯茎や骨の中に埋まっている親知らずのことを「埋伏智歯(まいふくちし)」と呼びます。もともと生えてこない方もいらっしゃいます。10代から20代にかけて生えてきます。

あなたは「親知らずは痛くなければ抜かなくていいよ」と歯医者さんに言われたことはありませんか?「もし親知らずが虫歯になったり、痛くなった時には抜けばいいけどそうでないなら無理して抜かなくてもいいよ、大変だから」と言われたことはありませんか?実は、この言葉を信じて親知らずを抜かずに放置しておいたことにより悲惨な状況になっている方は大勢います。親知らずが他の歯に及ぼす影響を知らなかったがために、多くの方が歯を失っています。虫歯でもない健康なご自身の歯を失っている事実を知って下さい。

 

咬み合わせ専門医が教える親知らずの考え方

親知らずに関しては、先生方によって賛否両論あります。抜歯しなくてもよい、または抜歯するべきだ、とそれぞれです。

私の医院では、「100%親知らずの抜歯」をおすすめしております。

その理由をお話します。        

          

私、吉本彰夫は開業以来2万人を超える患者様のお口の中を診させて頂いてきました。

その中で「親知らずを抜かずに放置していたために悲惨な状況」が引き起こされている現実を実際この目で見てきました。

親知らずがまっすぐ生えており顎の骨も邪魔せず隣の歯を押し倒すこともなく「この親知らずであれば抜かなくてもいい」と判断したケースは10000人に1人程度です。それほどの割合です。

つまり、親知らずは抜かずに放置しておくと大変危険なものなのです。吉本歯科医院へ初めてお越しになられた方で、親知らずを抜歯せずに残されている場合は私は、まずは親知らずの抜歯をおすすめしております。逆に言えば、歯を破壊する原因となる親知らずを抜歯せずに他の歯の治療をお受けすることはできません。近い将来かならず破壊することがわかっているにもかかわらず歯の治療をすることはできません。では当医院でなぜそうお勧めするのか、詳しくお話しさせて頂こうかと思います。

意外に知らない現代人の親知らず事情

親知らずは抜いた方がいいのか?抜かなくてもいいのか?をお話する前に、「親知らず」とはそもそもなぜ「親知らず」と言うのか?についてお話します。親知らずは8番目の歯になります。かつて昔は、この8番目の歯はあっても良かった時代があったそうです。歯の本数は「親知らず」4本分増えますから、28本+4本で全部で32本になります。歯の本数は1本でも多いほうがいいじゃないか!そう思われますよね?

親知らずはだいたい20歳~40歳頃までに生えてきます。ですので

1.「親元を離れる頃に生えてきて、親が知らない」説

2.「生えてくる頃にはすでに親が死んでいる」説などと言われています。

今と違って、昔の人の寿命は長くて50歳、平均寿命は40歳前後でしたし、30歳代で死んでしまう人だって少なくはありませんでした。

さて、「親知らず」は

痛くなければ抜かなくて良い

または生えてから抜けばいい

将来使えるかもしれない

移植するかもしれない

だから、抜かずに置いておきましょうとおっしゃられる先生もいらっしゃいます。私も大学時代には「親知らずは悪さをしなければ抜かずに置いておいてもいい」と教えられました。今でも大学によってはそのように教えていると思います。しかし、私吉本彰夫は、親知らずに関しては「99%の場合悪さをするので、抜いた方がいい」と考えています。この8番目親知らずですが、その手前の6番目の歯、7番目の歯と同じようにまっすぐ出てきたならば、そのまま抜かずに置いておいてもいいと思います。また、残念ながら親知らずがまっすぐ生えて出てこられるほどの顎のスペースを持つような骨格の方は、今の現代においては非常に少なくなってしまいました。

顎の成長発育というのは「噛む」ことによっても得られますが、舌の力、いわゆる顎を内側から外側へ押し広げる力、食生活の内容、これによって日本人の体型、そして骨格は急激に変わってしまいました。

親知らずがまっすぐ生えて出てくるような顎のスペース、つまり余裕はないのです。こんな状況ですので、ほとんどの方の親知らずは曲がっております。当院で「この親知らずは曲がっているので、抜いた方がいいですよ」というお話をしたとしても「以前、他の医院さんで、まっすぐ生えているので大丈夫ですよと診断を受けた」いう方もいらっしゃいます。

残念ながら、見た目にまっすぐに見えたとしてもレントゲン上ではまっすぐではないことが非常に多いのです。また親知らずがもうすでに飛び出てきていることも多いのですですので、そのまま置いて、まっすぐなのでいいと判断しても仕方ないような方もいらっしゃいます。しかし、残念ながら親知らずはものすごい勢いで出てきます。飛び出していきます。ちょっとでも歪みがあれば、それは他の健康な歯にものすごい悪さをします。もし可能であれば10代のうちに親知らずを抜いていただきたいと思っております。吉本歯科医院で矯正治療、いわゆる歯並びを治す治療、小さいお子さんが歯がガタガタで噛めないとか、そういう場合には将来、矯正装置をはずす前に「親知らずを抜く」ということが条件です。

昔と違い、私たち現代人は顎のスペースが極端に狭くなっており親知らずが倒れて生えていたり曲がって生えてきてしまう方がほとんどです。小顔の方が増えてきましたよね?顎はどんどん小さくなり歯が生えてくるスペースは狭くなったにもかかわらず、生えてくる歯の数やサイズはそのままだとどうなると思いますか?

4人掛けの長いすをイメージして下さい。4人で座るのにぴったりのサイズでした。しかし、いきなり長いすが小さくなってしまうとどうなりますか?今まで4人で座っていたうちの一人が窮屈になり座れなくなってしまいますよね?長いすが顎です。そして座る人が歯です。親知らずがまっすぐ生えるだけの顎のスペースがなくなってしまったため親知らずは横向きに無理に生える、曲がって生えるしかなくなってしまったのです。

 

曲がって生えてきたり、骨の中に埋まって状態だったり、歯肉の中に埋まったままだったりします。隣の歯と重なった状態になっているなど、親知らずと親知らず周辺の歯にはばい菌の温床となります。そのため「親知らずが腫れて痛い」「親知らずが虫歯になって痛い」ということがよく起こるのです。

親知らずが原因で、隣の歯をどんどんドミノ倒しのようになぎ倒していくことがあります。今でこそ「親知らずが咬み合わせを破壊する」ことは多くの人に知られていますが、私が開業した20年前、咬み合わせ専門歯科医師として患者さんに「親知らずが原因ですね」とお伝えした時には、ほとんどの方が「そんな話は聞いたことがない」と驚かれていました。

日本全国の歯科医師の中でも「親知らずが咬み合わせを破壊する」とは誰も言っておらず、他の歯医者さんでは「そんなことはない」と言われたと患者さんも戸惑っておられました。吉本歯科医院に勤めた勤務医達も最初は「え?親知らずですか?」と驚いたほどです。それほど、知られていなかったのです。

しかし今では、「本当にその通りになりました」と3年後、5年後の経過が患者さんご自身の写真で見比べていただくと歯が移動してきて崩れてきたことを証明してくれるのでお越しになられるほぼ100%の患者さんが「親知らずが咬み合わせを破壊する」ことをご理解頂くことができています。

どんなに矯正治療で歯並びを綺麗にしていても親知らずが残っていると後から崩されてしまいます。いわゆる矯正治療の後戻りの原因の一つです。伝え続けることの大切さを実感しています。

 

親知らずとは8番目の歯のことです。

左右上下の一番奥に生えています。全部で4本生える方もいますし、もともと生えてこない方もいらっしゃいます。

この絵はスライド写真イメージから当院スタッフ森下にかわいらしく書いてもらったイメージ図です。吉本歯科医院では「親知らずは抜歯した方がいい」とおすすめしています。他の歯にまったく影響を与えず、まっすぐすーっと親知らずが生えているならいいのですが、そのような方は10000人に数人程度です。つまり、ほとんどの方は親知らずが悪さをしているとお考え下さい。歯が後ろから倒れているようなかみ合わせになってしまっていると、噛む力は上からかかるため、下図のようにどんどん歯が傾くのに拍車がかかり、さらに後ろから前に押される力が歯にかかるため、さらさらにどんどん歯並びが崩れたり、押された歯が割れたり、つぶされたり、詰め物などが壊されたり外されたり、遠く離れた前歯まで飛び出てくるといった事が起こります。さあ、では実際に親知らずが原因で咬み合わせを破壊し、他の歯全体へ悪い影響を及ぼしている症例をご紹介しましょう。↓このレントゲン写真は吉本歯科医院で開業当時に現像していたころの写真ですので、見えにくいです(^^:)

 

親知らずが原因で咬み合わせを破壊している症例①

右下部分を切り出して拡大しました。

8と赤く囲んでいる部分が親知らずです。横に向いて生えていますね。親知らずの手前の歯7番目、その手前の歯6番目、どうなっているでしょう?6番目は全体写真で鼻の骨を起点にみると斜めに倒れて、かつ、上に上がっていますね。親知らずに押し上げられているんですね。神経の治療も受けられて何度も治療されています。

このレントゲン写真でもう一つ重要なことが、あります。それは、親知らずのすぐ手前の7番目の歯の根っこをご覧下さい。根の周囲が黒いですよね。歯を支えている骨が溶けているんです。

レントゲン写真というのは硬いところが白くうつります。5番目の歯の根っこのあたりは歯の根の周りがまだもや~っと白くうつっています。これは硬い「骨」が写っているんです。しかし、7番目には、骨が、ない。

さらに6番目の根っこの7番目よりのあたりまで骨が溶けています。7番目の歯を支えている骨が全然ないのです。6番目の歯を支えている骨が後ろ半分すでにないのです。ということはこの7番目の歯はグラグラに揺れています。抜かなければならないということです。ほっといてもそのうち7番目は勝手に抜けます。ほっておくと6番目も同じ運命になります。「親知らず」を抜かずに放置しておいたために、その「親知らず」が横に押し上に押し、さらにこの7番と8番の間に溜まったバイ菌が取りきれないわけです。ここはどんなにご自身で歯ブラシをしても、フロスをしてもばい菌を取りきること は出来ません。歯周病とは歯を支えている骨が溶ける病気」です。つまりこの方は親知らずが原因で「歯周病」を引き起こしてしまっているということなのです。

 

親知らずが原因で咬み合わせを破壊している症例②

さあ、次は向かって右、左下の症例です。左下部分を切り出して拡大しました。赤く囲んだ8が親知らずです。親知らずの手前の7番目の歯、上に飛び出てますよね。グイグイグイと「どけどけどけ!」と。いまだにこの「親知らず」活発です。

このままほっといても7番目は抜けてしまいます。

「親知らず」が原因で7番目の歯が勝手に抜けちゃうわけです。飛び出て行っちゃいます。

30代、40代になったから「もう私、親知らずなんて関係ないわ」50、60代になって「もう体力ないから抜きたくないわ」なんておっしゃられる方がいますが、親知らずは抜けなくても、ご自身の健康な歯が親知らずの悪さによってどんどん抜けていってしまいます。歯が揺れだすか、腫れるか、何かしらの悪さを始めます。年齢に関係ないということです。

ですから、親知らずは、早いうちに抜いた方が絶対楽なのです。傷の治りも腫れも若い時の方が楽です。60代でやむなくヒィーヒィー言いながら抜かれる方を見ていてそのように感じます。

 

親知らずが原因で咬み合わせを破壊している症例③

さあ、次の症例です。今度は恐ろしいですよ。親知らずを抜かずに放置しておいたことが原因で隣の歯の神経を切断させてしまった事例です。つまり歯の神経を殺してしまったんですね。

わかりやすく手前の7番目の歯の後ろ側の根と神経血管部分にラインを引いています(本来は右の歯のように神経血管が通っているトンネルの状態ですので、黒い線となって写ります)。

「親知らず」8がお隣の6番目の歯、7番目の歯に対して横にむいてきてるわけですね。
今後どうなると思いますか?

神経が圧迫されて痛いのです。

横に倒れていますから、自然に待っていても絶対生えてきませんね。ほっといても上向きに出てこないですから、生えてきたら抜きましょう、歯茎に隠れてるから抜くのたいへんですから、腫れますからっていって置いておくと、こんな風になってしまうのです。どうなってしまったか?わかりますか?

親知らずによって、手前の歯の神経がちょんとブチ切られていますよね。
昔のゲームに「パックマン」ってありましたよね。
そんなイメージでしょうか。

食べられてしまっています。ものすごく痛がりますよね、この患者さんは。とても痛いと思います。

歯の神経血管は顎の後ろから顎骨の深い部分中を通って歯の根から入っていきます。ここをちょんと切られるわけですから、とんでもなく痛いのです。

「何とか歯を残してください、親知らずを抜きますから」と患者さんはおっしゃいました。しかし、すでに7の神経が切れていますから、指が切れて落ちてるわけですから、死んだ人をよみがえらせてって言われても残念ながら手遅れなのです。無理なのです。なので、「親知らず」は他の歯に影響が出る前に抜いたほうが良いと私は思っています。また、磨けない磨きにくいということも分かると思います。

磨けないということによって何が起こるんでしょうか。8番目と7番目の歯の間に汚れが溜まっていきます。そこが磨けないので腫れていきます。これを智歯周囲炎と専門用語では言います。「親知らずが腫れて痛いんです!」と言われる方のほとんどがこれであります。

 

前歯が折れた
虫歯ができやすい
歯がグラグラする
顎が痛い
顔がゆがんできた

いろいろな症状がありますが、その全ての大きな原因に「かみ合わせのバランスの悪さ」があります。咬み合わせバランスを崩す大きな原因として「親しらずを抜かずに放置しておいた」があることを知って下さい。

歯は28本が正常に並んで始めてバランスを保っています。その中でどこかの噛み合わせのバランスが崩れると、前歯が本来耐えうる噛む力以上の負荷がかかって噛んでいることになります。ですので、日々の咬む力で少しずつ、前歯は折れやすい状態になっていっており、少しの衝撃や少しの咬む力である日突然折れてしまいます。正常な歯並びであれば前歯はそうそう簡単に折れることはありません。全ての治療において、吉本歯科医院では「噛み合わせのバランスが歯科の治療には最も大切である」と考えています。

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香川県高松市。削らず薬で治す歯科。吉本歯科医院の院長。歯学博士。現在日本で行われている歯科治療の8割は過去に治療した部分の再治療。再発を起こしにくい歯科治療を提案。歯を失わないための講演を各地で行っている。放送大学講師。

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